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MARQUEE(マーキー)Vol.114 夢眠ねむ(でんぱ組.inc)連載「まろやかな狂気」Notes.009「アイドルの予想と理想」続き

  • Posted by: MMMatsumoto
  • 2016年4月11日 13:32
  • MMM
P22 - コピーねむ.JPG

大好評 でんぱ組.inc・夢眠ねむさんの連載「まろやかな狂気」の続きです。
以下、本誌Vol.114(4/10発売)のP22からの続き(後半)になります。

今回のテーマは「アイドルの予想と理想」と題して、
人工知能のアイドルが出現するかも、
そしたら人口知能のヲタクも現れて...
など、いつもどおり安定のあらぬ方向に話が進んだあとは、
最近のねむちゃんモードでもある"昭和"テイストで、
"やっぱり気持ちは純喫茶のマドンナですよ!"的ほっこりに行き着くという展開となっております。
夢眠ねむの思うアイドル像が最後ハッキリと出ているかと思います。

ということで、後半スタート。
本誌Vol.114 P22では「進化」の「進」で切れていたので、
続きは「化」からですね。
よろしくお願いします。


↓↓↓

化されたら。
言ったらアイドル側も得るものがあるからやってるわけじゃないですか、アイドルを。
だから仕事を取られた生身の若い女の子の行き場がなくなっちゃいますね。
そしたら人工知能のオタクを作って(笑)」

――そうだね。人工知能のオタクもできると思うんですよね。

「やだー。お金で買うんですよ。ファンを」

――そうなるかもしれない。

「でもそうなってくると本当に、昔の人が描いた未来って言うか、
普通に歩いてる人がロボットだったり、
みたいなことになってくるって事ですよね。
それを自然な、うちらの今のアイドル業界に置き換えてるだけで、
普通に自然な進化ってことですよね」

――でも幸い残念な事に、スイッチ切ったら終わっちゃうっていう(笑)。
電源切ったら全部ゼロ。

「0になっちゃうんだ。バックアップとか」

――バックアップを取っていても電源オフでは使えない。
そこが弱点。

「エネルギー不足の時に初めて、
人工知能しか信用しなかったオタクが女の子に恋をするみたいなアニメができそうですね(笑)。
やっぱり本物がいい、みたいな。
そこでちょっとくらい人間が勝利しないと、
うちらはうちらで虚しいですから」

――僕は人工知能が覚醒する時っていうのは、
人工知能が過ちを犯すようになった時かなって思ってるんですよ。
人工知能は誤差なく合理的に向かう前提として在るじゃないですか。
人間の一番の魅力っていうのはある意味ではミスをする事ですよ。

「本当にそうだと思う」

――判断を誤る人工知能ができてきたら、それはやばいと思うんですよ。

「でもそれはちゃんと誤ってるんでしょう?
誤ろうとして誤ってるというか、
ここは外した方が行けるっていう計算というか。
あざといー、みたいな(笑)」

――(笑)。そこはまだいいんですよ。
そうじゃなくて、本当に判断をミスしてしまう瞬間が人工知能の中で生まれてきた瞬間、人間は勝てなくなる。

「勝てないし制御できない人工知能ってすごい恐怖がありますね」

――実はもう裏ではそこまで進歩してるのかもしれないし。

「宇宙関係とか、そういう人工知能関係って、
きっとばらさないだけで水面下でやってますよね」

――科学っていつもそうじゃないですか。
30~40年経つと、NHKのドキュメンタリーとかでばらされるっていう。
でも、人工知能と人間が対峙してると、
人間の情報処理能力とか、肉体生命の限界、
マックス約100年という限界があるわけで、
それで物を考えちゃうわけですよ。
価値観がその尺で生まれる。
つまり3次元しか分からないっていうか。
でも人工知能はそれ以上分かっていくかもしれない。
そこのギャップは埋めれないかも。

「なのに人間が作ったっていう、
ちょっと優位に立ってる気になってるじゃないですか。
神様気分て言うか。
そこでいろんなギャップが生まれそうですよね」

――ここ最近の流れを考えると、
東京オリンピックが明けたあたりで本格化かと。

「そしたら、『昔はこうでした』みたいな、喋る番組に出よっかな(笑)。
でも私がプロデュースしてる可能性もありますよね。
プログラミングに参加して。
こういう時はユーモアでやった方がいいですよ、
みたいなのを開発者に言ったりとかして。
でも可愛げがある方がいいな。
可愛げがあるようにしてほしいな。
例えばアニメのキャラクターとかは、
人間が作り出してるものじゃないですか。
それでその声優さんとかがドームを埋めてたりしてるんですね。
それって中の声の人がやってて、
ファンの人はもちろん込みで応援してるけど、
アニメのキャラから入った人達も大多数いるじゃないですか。
だからそのキャラクターボイスを声優さんにしちゃえば、
つまりボーカロイドの仕組みみたいに先に全部素材録っておいて吹き込んでおけば、
そのアニメのキャラクターだけとして、
それこそミクさん的な事として活躍できるから。
言ったらアイドルマスターとかラブライブ!みたいなのって
普通に滅茶苦茶ジャンルとして確立されてるし、
人気だから、それがまんまアニメキャラの感じで3Dになるわけだけど、
そんなのもうできてる気がするし」

――でも基本は、選択肢が増えるという話だと思うんですよ。
生身のアイドルっていうのもあるわけで、
パーセンテージは分からないけども、
いろんなアイドルの形があっていいっていうか。

「ちょっと論点ずれちゃうんですけど、
私は何となく最初の話では、
自分みたいな人間の見た目で考えてたけど、
まんまアニメキャラの、言ったら目がバーンてでかいのとかができちゃったら、
それはそれで、何て言うの、2次元で撮ってたものが普通に3次元で。
MMDって今うちの番組でも取り扱ってるんですけど、
うちらの好きな男性アイドルの2次元とかが
踊ってるようにプログラミングできるっていうのを、
生身でライヴ観たいってめっちゃ思ってるんですよ。ファンは。
それが普通にできるから。
正直他の生身の男性アイドルよりそっちの方が絶対いいもん。
2次元がいいって思い込んでる人達が、
そっちにはまり込む可能性は高い」

――だと思います。
3次元にそれ程興味ない人っていると思うし。

「3次元にね。絵柄がもう駄目な人とかいるじゃないですか」

――そういう人はね。

「画が駄目とか。
作画でアイマスとラブライブ!では全然画が違うから、
例えばラブライブ!の画の女の子みたいな子が外にいたらいいのにって人。
理想形の理想だから。やばいじゃん。
抱き枕とかいらないもんね。
買っちゃえばいい。怖っ。やだ、怖いわ」

――後はプログラミングが精巧緻密になってくでしょうね。

「夢だけどちょっと怖いのはなんでだろう。
新しい物に対しての拒否なのかな」

――それもあると思うんですけど。

「でも絶対夢には思い描いてるんですよ。
私の好きなキャラがいて、
その画面の中で名前を呼ばれるだけで嬉しいじゃないですか。
自分が打ち込んだ名前なのに。
それが喋りかけてくるとか、ぎゃーって思いますよね」

――慣れると思うけどね。

「怖いけどすごい」

――人はそうやって科学で開発してきたものに慣れてきたわけだから。
電車みたいな歩く速度より断然速いものに乗ると
時間感覚がどうなるかとか昔は思ったはずですよ。
でも慣れて普通に生活してるわけですよ。

「飛行機に乗る回数が多すぎると、
ちょっと老けるんじゃないかって思うんですよね。
宇宙船の話でも似たような話を聞きますけど、
それって80年のスケール感だから影響が出てないだけで、
長い目で見ると致命的なのかもしれないし」

――かもしれない。
好きなアニメのアイドルの形した人がバーチャルな形で話もしてくれて、
一緒にピクニックに行けるみたいなね。
携帯もスマホも慣れてきたように、
次にまた新しい何かに慣れていくその過程に人工知能があるというか。

「楽しみだけどめちゃくちゃ怖い」

――アイドルで言うと、縄文時代にね(笑)、
部落の中で人気の女の子がいて、街の外れには占い師みたいな人がいて、
っていう時代からアイドルもいた気がするんですよ。

「巫女がね」

――平安時代の絵巻の人とか、
江戸時代のパッツン人形(菊人形)とか、
それぞれアイドル的人気の女の子っていて、
時代は下って、一時はブラウン管の向こう側にいたんだけど、
今の時代はブラウン管のこっち側現場にいる時代になってて、
今度もしかするとバーチャルな方にその軸が移るかもしれないし。

「一家に1人アイドルみたいな時代になったら、
絶対に会えないっていう売り方が斜めになるから、
生身の、わけが分かんない、ある意味人工知能を超えた、普通の、しょうもない人に価値が付いて」

――そうそう。
ねむちゃんはよく知ってるように、
前衛っていうのは、前提となる背景があるから前衛になってるわけで、
例えば世の中がノイズミュージックまみれだったら、
AメロBメロサビの順当なポップスがアヴァンギャルドに映るんですよ。
何に価値を見出だすかは、
その時の状況・価値観といったバックボーンの影響が大きいから。

「でんぱ組がバラードを歌うとびっくりするみたいな」

――それです(笑)。
ギャップから来る内容の充実度の高さあってのことではあるけど、
BABYMETALなんかの、
このアイドル時勢で一切チェキ会握手会をやらないっていう隔離が尊ばれてるってことも同じく。

「絶対それはあると思うな。
でんぱ組だって店で会えてたのに、今会えないし。
にしては、アキバを歩いてるみたいな、変なバランス感覚でやってるから、
多分、貴重がられてるだけだけど。
そうだな。じゃあ怖いけど心配はいらないかもしれないですね」

――形はバーチャルだろうが、今会えても会えなくても、
どっちでもいいんですよ。
単純な話で、アイドルっていうのは尊ばれるものなんだと思うんです。
それが各時代で形を変えているだけで、
バリエーションとして人工知能的、バーチャル的なアイドルも具現化するだろうっていうだけの話ですよ。
あくまで関心は尊ばれることのほう。

「私、その感じの、一番自分がなりたかったヴィジョンがあるんですよ。
本当に憧れてたのはアイドルでもなく、純喫茶で働く女の子なんですね。
それが自分の中のベストアイドル。
おじさんとかも、『デートしようよ』とか言わないけど、
例えばそういうチャラいお兄さんが来て、何か言ったら、
おじさんが、『コラ!』って言うみたいな、
なんとなく守られてる純喫茶のマドンナ的存在。
でもマスターはマスターでいて、みたいな。
ていうのが私のアイドル像の理想、根本なんです。
その子が風邪で休んだら、みんなめっちゃ心配して来ちゃうみたいな。
でも別に誰も彼氏でもないし、
その子のパーソナリティーはあんま喋んないから分かんないけど、
みんながなんとなく気持ちを置いてて、
その子も誰かがへこんでたら、
コーヒーに1枚だけ手作りのクッキーを添えてくれるような。
分かりますか?」

――分かります。
本来のアイドルの、尊くて手の届かない形もありで魅力だけど、
視界の中にいる人で、親しみのある感じ。
そこですよね?

「私はそこがありきなんです。
守るべきものとしてあるし、
自分のこっそりとした癒しなんじゃないかって。
それってすごい日本的だと思うんですけど、
アイドル文化の日本の発展とかって、
そこのチリチリッっとした部分が大事だと思ってて」

――それはアイドルの核心かもしれないですね。

「だからその純喫茶のバイトの女の子と、
その子を取り巻く感覚っていうのは、本当に大事なんです。
私は本当にそういうものになりたかったし。
なりたいと言えば、私は2大なりたいものがあって、
1個が純喫茶の女の子で、もう1個が、
ちっちゃい時に歯医者さんに行って、
麻酔がまだ効いてる状態で感覚が分かんないまま
ポテトを買ってもらって時の事なんですね。
歯医者の下のスーパーの片隅に変なフードコートがあって、
そこでフニャフニャのポテトを買ってもらって、
30分食べちゃ駄目だからずっと待ってて、
『いいよ』ってお母さんに言われて食べた時のポテトの味や感覚なんです。
自分の妙な執着してるところをくすぐられるような体験を人に与えたいんです。
そしたら絶対、いつでも想っててねって思わないです、私。
一生応援しててねとか、ずっと考えててねとか思わないけど、
歯医者に行った時のような、思い出すとアッて思うような記憶を、
これもチリチリッとこするような」

――サブリミナル的な話だ。
意識下に入るって話ですよね。

「そう。それって最強だと思ってて。
でも、自分が記憶として残りたい欲求の、
私のベストの形がそれなんですよ。
だから何かあった時に、パッて思い浮かんで、
『あっ、いいな』っていうものでいたい。
例えば、ミントグリーンがねむ色だからみんな買っちゃうのとか。
緑買えばいいのに、
何となくミントグリーンを買っちゃったり。
ミントグリーンて言われたら、
『ねむきゅんの色だな』って言われるのって、
完全なる刷り込みで、
それってフードコートの涙味ポテトの話と同じなんですよ。
何かそこに触れる事が起こった時に、
ビリッて思い出す事が、実は一番最強だなって。
私はその2つのハイブリッドな存在を目指してるから(一同笑)。
それって難しいんですけど」

――それにしても、純喫茶の女の子って、
昭和な感じで懐かしいですよね。

「純喫茶の女の子に関しては、いろんな想像をしますね。
本も読むし、曲も聴いて、
歌詞の中のマドンナみたいなの探しちゃうわけですよ。
歌詞の中のマドンナって
大体みんなが『えっ、あいつ電話番号聞いたの? 抜け駆けしやがって』みたいな、
そういうドタバタみたいなのってすごいときめくんですね、私は。
抜け駆け駄目でしょって牽制しあってる雰囲気のマドンナって
すごく魅力的だなと思ってて。
なのに何十年後かにマスターと結婚したみたいなとかさ。
そういうのいいじゃないですか。
その時は全然付き合ってないのに、
お互い『相手がいないですね』みたいな感じになって結婚するみたいな。
あんなにどっちも人気だったのに、みたいな」

――そういうのって昭和のドラマであった気がする。

「日本のノスタルジーみたいな。
でもノスタルジーって絶対大事。
元々萌えとかも、ちょっと湿ってる部分から引っ張ってこられたもので、
ポップなものじゃ絶対ないんですよ」

――欧米型のカラッしたものではないんですよね。

「そう。
だからローラースケート履いて、
ハンバーガー持ってるのとは違うんですよ。
『ヒュー』とか言っちゃ駄目なの。
自分が好きっていうのはばれちゃ駄目で、
でもその子が好きであろう、アップルパイを頼むんですよ。
『僕は君の事が好きでアップルパイを頼んでるんですけど、
それはもう決して言いません』みたいな、
墓まで持ってくみたいなビリビリ感を、
私は、日本のアイドルはどっかで出しといてほしいんですよね」

――オタクの人達もそう思ってる人が結構いると思うんですよ。
昭和の、純喫茶の女の子イメージを言われたら、
みんな「分かる!」って言う気がする。
それはアイドルの根本でもある気がする。

「だと思うんですよ。
だからその子も滅茶苦茶干渉してこないし、
自分も全然そこまでしないけど、
お互いが何となく気遣いあってる。
そういう関係が私はベストだなって思うんですけどね」

――人工知能になっても、そこが求められる気はするんですよね。

「人工知能で言うと、言語化しづらいけど、
印象としては今言ったことを埋め込めば、
私の理想のアイドルになるかなって思ったかな」

――というよりも、ねむちゃんが人工知能になるとか。

「どういう事? 私をベースにした?」

――人工知能とつながれるような形態というか、
自分のイメージや言語が反映される形。

「ちゃんと流し込んでおくってことですね?」

――そうすれば"夢眠ねむ"は代々継がれるし、
みんなが使っていけるだろうし。

「しかも一家に1台私がいたら、色んな用途に使える。
アイドルでもいいし、料理もするし、一緒にテレビ見てゲラゲラも笑えるし。
ただの結婚相手のプレゼンみたいになっちゃったけど、最後(一同笑)」

――今、実はそうなりつつあるんじゃないかって思うんだけど。

「好みを打ち込んでね、理想のアイドルが」

――今日は理想のアイドルって事でいいんじゃないですか。

「未来の形の予想とそこに流し込みたい自分の理想。
予想と理想みたいなね」







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