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2011年6月 Archive

MARQUEE Vol.85:ねごと

  • Posted by: MMMatsumoto
  • 2011年6月14日 13:29
  • MMM
2011.6.14.JPG

お待たせ! 「ね ご とぉ です」zzzz....
すみません、偽者です。

ハッキリ言っとくけど、誰か途中で止めろよ。
止めないと、あしたの朝まで書き続けるゾ(笑)
頼むよ。

たくさんの人達が今回のマーキー読んでくれてるみたいで、
本当にありがとう。
そう、これ手に取って、見て、読んでほしいんだよ。
ねごとっていうバンドの最初の段階だし、
マーキーっていう雑誌がどういう雑誌なのか
それもよく分かってもらえると思うんで。

それから、ねごとの4人、今回は本当にお疲れ様。
ブログも、いつもチェックさせてもらってます。
ありがとう。

去年春以来ずっと追って来て、
僕は最初の達成点をまずココに置いてました。
1st アルバムのタイミングに。
僕はまだ1年ちょっとだから、
それこそ閃光ライオットの頃から知っているファンの人達がいることも、
レコード会社の人達で、それこそさっちゃんのソロを千葉まで観に行った人達がいることも知ってます。
いつも大抵自分は後追いだから、
後追いだからこそ、そのぶん一生懸命やる。
ということで正直、ねごとに関しては自分の経験の粋を集めて、
4人の事を第一に思って集中力を働かせているつもりはあります。
オーバーランしがちな、せっかちな性分を冷ましながら(笑)。
いや、厳密には冷まされながら(笑)。

なぜそんなに熱心かって? 答えは本当、簡単。
音楽がいいからです。自分の好みにピッタリくる。
これがないと僕はいつも始まらない。
本気で走れないんですよー(当たり前か?)。
逆を言うと、音楽が気に入ると、あとの一切の事はホントどうでもいい。
例えば、どんなにそのアーティストの性格が「...」だったとしても。
音楽というのは第一義に人付き合いの事ではないからです。
でも、できることなら人がいいほうがいい。
ねごとは、そこも叶った。

自分の周期で言うと、約4年に1度くる存在。それがねごとだった。

僕が言うのも変だけど、
編集者である前に、熱心ないちリスナーとして、
「さっちゃん、みずきちゃん、ゆうちゃん、さやちゃん、
初の表紙、おめでとう」。

このねごと特集、
やりたい事、今やるべき事を照らし合わせて、
それでもなるべく絞りつつ始めたんですが、
1回目に組んだ段階で、つい40ページ弱あって、
早々とオーバーラン(笑)。
「これじゃ、他の記事が入らない(汗)」ってことで、
削って詰め込んで(だからテキストページとか特にパツパツ)。
でも何でもやればいいってことじゃない。
半歩先を過去の流れから予測しつつ、
客観的視野に立った上でのタイミングというのがとても大切。
第一は、今このバンドにとって何が必要なのか、そこ。
その為に自分の能力の最大限で役割を果たしていく。
そんなこともあり、今回決定した瞬間というのは、
もう水を得た魚状態で、ページ数も増。
と言うか..正直、100ページくらいの物(1冊?)なら作れます。
やりたい事、やるべき事が、まだあるんですよー。

さて、どこから始めたかと言うと、2日間にわけて、
『メルシールー e.p.』『ex Negoto』インタビューから。
続けて、個人インタビュー×4と、10冊、10枚、の各インタビュー。

どれも長文になって全体量が多いから
分かりづらくなってるかもしれないけど、
特に個人インタビューを頭の中で行き来させてください。
4人の気持ちが思い合っていることがわかるはずです。
この柔らかな空気感が、ねごとの土台かと僕は思う。
こういう時、なにか"ガツッとしてないとダメ"的な、
力信仰なマッチョ思想がバンドとかロックにははびこってるけど、
音楽って根性物語やスポーツ性がすべてじゃないから。
それは幾つかの中のひとつでしょ。
そういう価値転換をそろそろしてほしいんですよ。
どうもこのへんが洗脳されててヒエラルキーになっていて、
結局は音楽の幅も価値観も狭めてる。
そらー、ルーティーン化するって、そんなんじゃ。

特に"ガールズ"が酷くて、
バンドっていうと「いかに男に勝るか」みたいな刷り込みが定着してる。
やる方も聴く方も。だから確かに需要もある。
でも、この予定調和は何?って思ってしまうんですよ。
もっと自由で居られないのかなぁ、って思ってしまう。
その点でねごとは新鮮というか、余計なものが最初に無いというか、
「あ、音楽のスタートラインに立ってる」て思うんですよ。
その中にちゃんと感情も例えば音質と同ヴァリューで有る。

男子バンドってこういう問題、あんま無いでしょ?
肉食から草食までバンドOKの了解があるのに、
なんで文系女子のバンドが成立しないかっていうと、
今言ったみたいな先入観・偏見があるからだと思うんですよ。
その累積結果が、やる方も聴く方も
"アイドル→萌え~"と"ギャルバン→ギャー!"だとしたら、
それは貧しい。この傾向って最近強まってるように思うけど。
でも音楽って、そういう事と関係なく本来あるものだと思うんですよ。
少しくらい正当にねごとみたいに、"音楽"があってもいい。
"音楽"が有った上で、"ガールズ"で"二十歳"。それがいい。

ていうくらい実はアルバムが凄い。
1曲目のストレートに走り出す"サイダーの海"とか、
2番の歌詞の変則バッキング、リズムセクションどうなってるんですか?
クラシカルなこのピアノって、歌メロと全然別メロなんだけど、
これライヴで弾きながら歌うの?とか。
よく引っ張られないなぁと思う。絶対音感があるから?

3年間分の中から選曲してるだけに、1曲ごとカラーがあって、
どんどんいろんな曲が良くなってくる。
インタビュー時点で僕は「week...end」と「ビーサイド」だったけど、
今は半歩リードして「季節」かな。
最後の歌詞のところとか、「季節」ヤヴァい。
歌詞は本人が意図したところとは別解釈がたっぷり出来て、
これはある程度ながく生きてきた人達、
要するに出会いと別れを経験してきた人には多分響く。
この歌詞で、この疾走感と軽さというか爽やかさだから良くて、
これって変に経験積んでいると多分重くなって透明感が消える。
ねごとの良さって、まさにそういうところだとも思う。
あとは、「ふわりのこと」。
最初聴いた時から、このタイプは後々染みてくるとは思ってたけど、
そのとおり今頃になってやって来た。
もう最初のピアノ何音かでOKというか、
この凛として安らぐ感じっていうのは、さっちゃんらしいかも。
同じスローな「AO」とはまた違う。

そう言えば、つい先日の夜、オワリカラのカメダくん達とメシ食って、
その時「ハイ!マーキー」つって最新号渡して、
ねごと話をまた真剣にしてしまったんだけど、
やっぱりみずきちゃんが個人インタビューで言ってる、
「それが音楽理論上、正しいか間違ってるかよりも、
いいと感じるかどうか」という発言に、
ねごとの個性も将来も関係してるだろうって話で一致。
曲の発想から含めて感覚主導な部分の勘とか、
不協和音等も含めた上でのバランス感覚とか。
あと、みずきちゃんが特にそうなのかなと思うんだけど、
ねごとがやろうとしている事は、
今の楽器なり編成では無理が生じるくらい広がりがあって
きっといろんな音やリズムやフレーズ等が
頭の中では鳴っているんじゃないかというカメダくんの話だった。
これは僕もそう思う。

でも、ねごとがいいのは、変に整理されないよう、
また、理論的・発想的な事も吸収できるよう、
要するに4人の良き刺激となって思い描く音なりを実現できるよう、
今回のメイン・インタビューでも4人が言っていた河野さんという
キーボーディストのプロデューサーが付かれたこと。
多分これも大きいんじゃないかと思う。
「メルシールー」は多分その初期段階なのかも。
もちろん、音作りのすべてはメンバー主導。
でもそういう必要な時期に、そういう方を迎える。
で、これが出来てるのは、マネージャーであり何よりもサウンド・ディレクターであるみるく。さんの存在も大きい。
ちなみに、谷川俊太郎さんとこへ行った時、
最初、谷川さんにメンバーと間違われたという彼女ですが、
ねごとの作詞・作曲面を本当にうまく引き出してるんだと思う。
ライヴ含めインディーな現場・姿勢も熟知し、音楽に限定されない視野を持つ彼女のトータルディレクションが背景でねごとをバックアップしていることも、この場限定で少し伝えておきたいです。

それと、10冊と10枚。
こちらは編集部・上田と、ライターの金子くんが、それぞれ担当。

さっちゃんが本を説明する時、一部朗読のようになって、
一瞬、「え?『街』?」とか思ってしまった。
「街」という時々ライヴでやってるねごとの未発表曲があるんだけど。
で、上田とさっちゃんが話している間、
僕はタイトルを写したりで、声だけ聞こえてくるじゃないですか?
さっちゃんて、少し高音混じりの声質と滑らかなのにハキハキした発音が綺麗なんですよー、と改めて。
さすがねごとのヴォーカル!

で、撮影が11時間。
鏡持ち込んで、ドライアイス炊いたら本当にモクモクで、
羽降らせて、最後は卓上の鏡を割って、
そしたらこれが写真のとおり本当にうまく割れて、
衣装はやっぱりさすが高山さんらしくて、
ヘア&メイクは、アーティスト写真と同じく奥平さん。
そしてもちろん野村さんで木村くん。

合成が前提とは言え、ストーリー仕立てなので、
実写でかなり近付けておかないと、ということで、
撮りながら試していく感じで進行。

テーマは「鏡の国のアリス」。
そこで野村さんと木村くんと僕には、共通認識があって、
それはヒプノシスをねごとでやりたいというもので。
ヒプノシスっていうのは UK70's のデザイナー集団。
「ピンク・フロイドの『Ummagumma』とかいいなぁ」と話してたら、
木村くんからのラフで、この表紙になりました。

で、対談が2本。
<瑞紀+佑>組がまず、何度見てもすごいPVでも有名なSOURと。
SOURの3人はあのアンサンブル並みにおもしろかった。
そうそう、ねごとの特にこちら二人は、相当コアに音楽聴いてますよ。
僕も「SOURで」と言われた時は、「え? SOUR」とは思ったんですが、
インタビューにあるとおり、高校時代の通学中に聴いてたって言うから。
今回の10枚もほんの一部です。
ヤーヤーヤーズだってコピーしてライヴでやってたらしいし。
このあたりの浸透がまだまだなんだーと思った。
まぁ、一見そういうふうには見えないのがねごとだから、
逆にギャップがあっていいのかも。

一方の<幸子+小夜子>組は、奇跡の実現、谷川俊太郎さんと。
これには、元ミュージシャンで現編集長・ライターである人物の
多大な協力があり実現しました。本当にありがとう。
この事は、あと1か月くらいでオープンになるので、
その時お伝えしますが、
僕は彼女の雑誌でマーキーとは別に谷川さんに取材してます。

当日は風が強かったなぁ。
ねごと取材の一番最後だったのと、
谷川さん宅の落ち着いた雰囲気とで、
何か修学旅行に来たような錯覚があって。

ご存じの人も多いかと思うけど、
谷川さんは詩にまつわる様々な表現方法を実践していて、
話していても本当に感性が"今"なんですよ。
音楽絡みだと新宿ロフトでライヴもやってるしね。
なんて感性が柔軟なんだろうと思った。
そこに昭和からの、それこそ日本文学史の一翼を担う経験が積まれてるわけで、知恵というか直観というか、鋭いし、あと楽しい。
話がおもしろいんですよ、冗談好きというかユーモアがあって。
あの詩のリズム感も大いに納得。

そこへ、ねごとのふたりのあの質問というか、
いやー、貴重ですよ、あれは。
二十歳のふたりだからこそ出来た事。

本当に思うんだけど、ねごとの4人って、
なんでこうもどこ行っても誰と話してても、
あんなに変わらないんだろうね。不思議なくらい。
あの温度の一定感は、もしかすると将来の大器なのか?
緊張するって言うわりに、全然そう見えない。
でも谷川さんの時は、ふたりともリラックスしてました。
谷川さんがフランクな方だからというのもあったと思うけど。
谷川さん、本当に真摯に話してくれた。
お会い出来て、本当に良かったと思ってます。

それで取材終了。

ていうか、これ相当ながくなってない? 大丈夫?
オレは大丈夫。

その後、ライヴで新曲「week...end」を聴いたんだけど、
その頃この曲が自分的なピークで初ライヴだったこともあり、
ちょっと足が地面から3mmくらい浮いてて、今一つ記憶が鮮明じゃない。
「メルシールー」はライヴだと一層ヘヴィなんでビックリ。
音も厚くて、かなりライヴ映えしてました。

あと、これは余談なんだけど、
ねごとの約1週間の取材期間中に、
ちょっとだけ不思議な事が2回あって。
それも同じような事が。
いや、それはとっても"いい印象"なんだけど。
昔から時々、何日間とか長期間、集中が続いてると、
「あれ?」と思う事が起こるんですが、今回久しぶりでした。
こういう話は、さやちゃんが得意だから
今度機会があったら話してみよう。

ていうか、
ねごともコーナーを持っているラジオ界の良心 SCHOOL OF LOCK で、
「お口ポカ~ン・フェス"学校の怪談"」に、
「怖い話した人はペアでご招待」って募集してたと思うから
応募してみようかな。
でも学生じゃないしなぁ。
ていうか、
根本的に無理がある。と思う。




MARQUEE Vol.85:やくしまるえつこ

  • Posted by: MMMatsumoto
  • 2011年6月12日 06:21
  • MMM
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さー、やくしまるさんだ。

その前に。
この間コーストで相対性理論を観たんだけど、
バンド・クオリティ上がってましたねー。
Itokenのドラム参加は、
これまでどおりリズムに多彩さを与えているし、
key も加わって隙間感無くさないよううまーく埋めてて滑らかで、
そこにZAKさんがPA参加して立体音響が素晴らしく、
今の理論はライヴも鉄壁だー。

ZAKさん、知ってる?
フィッシュマンズとバッファロー・ドーターの専属PAさん。
あの音響を作った張本人で、音楽趣味は硬派なんだけど、
本人は物静かににこやかで柔らかく器ある人で。

で、アート・リンゼイがソロで、
「NO NEW YORK時代から変わらないゾ」的な
トリッキーなギターワークに冴えを見せて、
根っからのボサ/ブラジリアンのテイスト込みで、
アヴァンな感覚をユーモラスに伝え、
もう一組、CORNELIUSこと小山田くんがG、
同じくCORNELIUS GROUP のD、荒木さん、
そして小山田くんとはたま~にユニット組んでて、
もちろんバッファロー・ドーターのB&Syn、大野さん、
という布陣で何曲かをプレイ。
その後、理論単体だったんだけど、
アート・リンゼイ、小山田くんも参加してのアンコールでの理論が
かなりヤバかったです。
「ウォーー! FANTASMA以降」のエフェクティヴなギターワークと。
やくしまるさんとの波長とか。

て言うか、これは僕個人の意見だけど、
小山田くんが今コラボすべきは絶対やくしまるさんだと思ってる。
実験をポップに持っていける発想と
ユーモアや悪戯のツボがピッタリだと思うから。
全曲とは言わないから一緒に作品作ってほしい。
いやー、これは聴いてみたい!
きっと辻川くん(映像の)達とも波長合うはず。

今回のマーキーでもテーマとなった"ときめきハッカー"を
この日もやったわけだけど、
やくしまるさんは特殊センサー付きのめがねをかけて、
まばたきするたびに、それがヴォイス変換されて、
単語がループされるという。それを曲に持ち込む。
あと、心臓の鼓動も低音の打音になっていて。
都内屈指のスピーカー・システムを持つコーストとZAKさんのPAで
音、かなりクリアに出てました。

で、本の話。
今回のマーキーのやくしまるさん記事、全体にパツパツでした。
やれて良かったし、間に合って良かったです。
アート・ディレクションとデザイン、そしてスタッフィングは、
前々号 MARQUEE Vol.83(capsule号)のねごとで
超絶ディレクションだった吉田ユニさんが担当。

まずユニさんとこで、やくしまるさん含め打合わせ。
その様子は、「ユニさんに訊く」の所で少し掲載したとおり。
打合わせ段階からもうやくしまるワールドでした。
その時、一体やくしまるさんが今回何をやっているのかの説明を受け、
僕もユニさんも「えーーー!!!」みたいな。
僕は「この人、何考えてんだぁ」ってゾクゾクしました。
もう「面白い事、やろう」っていうアート事とか表現事じゃなくて
「え!?物理?科学?犯罪?」って感じで、そもそもがブッ飛んでる。
あの歌声とフワッとした雰囲気と、ギャップあり過ぎ!
それで真鍋大度氏に速攻インタビューを取らなければならないことも分かって、後日すぐ連絡。

音楽なんだけど、
"個人"がミニマル化される中で、
個性とかいう"物語"は脱色されていって"情報"に。
その情報を科学的に信号としてサンプリングして、
曲として再構築したのが"ときめきハッカー"だけれども、
そこには"表現"という名の"個人情報流出"があって、
このシステムを非合法に使えば、もう犯罪の域だなとも直感したから、
真鍋氏とはそういう話もした。

例えて言うと、心電図をとりました、と。
それはその人自身もコントロール出来ないまでに"固有"。
その人自体であるけど、物語は持ち込めない"情報"なわけで。
これを不特定多数にさらすということです。
じゃあ"表現"って、そもそも何?という根本的な問いどころか、
道徳感を超えてしまう論理がそこにはあるわけで...
例えば、ハッカーっていうのは物凄くコンピューターに詳しい。
その詳しさ自体に善悪はないわけです。
それを、どういう心理でどの方向に使うかだけ。

やくしまるさん達がやっている事は、
もちろんこれを音楽・曲としてポップに作品化してるわけだけど、
根本となっている論理やシステムには、
どこまでが表現なのか、どこからが犯罪なのか、
といった問い掛けをはらんでいる。
やくしまるさん達は、その曖昧な、
時代や人によって180度解釈の変わる領域の事や価値観を、
もっと言えば、人間のその曖昧さを、
音楽というものを通じて、善悪とか正しい/間違いの判断つけず、
まるで資料・情報を提示するかのようにアウトプットする。
そこのフラットさ、ニュートラル感が凄い!
というかアプローチが、
所謂ドレミファっていう"音楽"とはまったく違う。
彼女が実験的に映るのはそこだけれども、
でもそれを"実験"と印象づけずに居れるバランス感覚こそ、
"やくしまるえつこ"だと僕は思ってます。

だから発想的には現代アートの人だと思うけど、
やり方が間違ってる(笑)というか。
もはや現代アートっていう型すら通り抜けていて。
それでポップに印象づけらているんだと思ってます。
その"間違い"こそが彼女のオリジナリティかと。
で、その"間違い"は、彼女の感覚頼りな部分が大きいかと。
ここから始まって構築する論理性を一方で持ち合わせているんだと思う。

今回の撮影は、どうなっているかと言うと、
すべて実写で、合成一切無し。
"電気な"テープルもお皿もピッチャーも、
壁を意識させるための鏡や額縁も、
すべて美術さんに作っていだきました。

で、これ、立体に見えるけど、それは錯覚です、人間の。
テーブルとか、台形にして背景を黒にしているから、
そう見えるだけで。
すべて上から糸でつり下げられた平面物です。
その前に台置いて、やくしまるさんに座ってもらっただけです。
テーブルに座ってるふうに見えますよね。
P42-43の見開き写真は、それら平面物をすべて床に置いて、
その上に、ただ寝てもらって、
キャタツに登って、つまり真上から撮ってます。
でも、テーブルの上に横たわってるふうに見えますよね。
それが錯覚というもの。
やくしまるさん達がやっている表現の仕方とよく似てますよね。

この微妙なズレ感がいい感じに不思議ー-に
ポップでキャッチーだと思います。
このへんの、電気をオモチャっぽく、それもガーリーに持ち込むセンスのいい遊びっぽさが、さすがユニさん!
やくしまるさんの"理知的なゆるさ"にピッタリ。
P44 の4つの写真を組み合わせたデザインも最高だ。

あと、やくしまるさんからの「分身学」の回答は、
彼女の表現の根幹に触れていて、わかりやすいと思います。




MARQUEE Vol.85:Superfly

  • Posted by: MMMatsumoto
  • 2011年6月11日 13:20
  • MMM
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今回はフロント・越智志帆さんにインタビュー。
というのも、実はこのマーキー、
彼女達がデビューしたタイミングで
多くの作曲を手掛ける多保くんも交えインタビューしていたのでした。
だから随分久しぶりになる。
もちろんその間、音は全部聴いていたわけで。

今回は、まず HiGE 須藤くんの連載から始まり、
後日、志帆さんにインタビュー、
その後、中野(敬久)くんで撮影。

相変わらず須藤くんは話上手で、
「危険じゃないですよ~」と醸しながら半分バレてて、
でもそれがなんか無邪気で、話の楽しさに持って行けるのが凄い。
そうしてグイグイと。
「フロントマンって、そういう風に思ってるんだー」と発見も多い。

志帆さんとの話は時間内にキッチリ出来たと思う。
僕が音と歌詞から感じた事と、
志帆さんが意思持って明快に話す内容との噛み合わせは
結構良かったんじゃないかと。
彼女自身、今度のアルバムがリスタートでもあると言う、
そういうタイミングの良さもあったんだろうし、
何よりもいろんな経験を積む中から導き出しているシンプルを持っているから、というのも大きかった思う。
いい感じで話せたなぁと思ってます。

で、写真は中野くんのシャープさで。
前号の Heavenstamp 同様。
音楽の勘をつかんでるフォトグラファーで
ファッションに相当するクオリティまでやれる人って
実はなかなかいなくて、その点中野くんは鋭い。
撮りたいように、迫りたいように、任せられるフォトグラファーの一人。




MARQUEE Vol.85:南波志帆

  • Posted by: MMMatsumoto
  • 2011年6月11日 02:15
  • MMM
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南波さん、目、おっきいぃ、いっつも。
そりゃそうでしょうよ、もともとの目なんだから。
いや、おっきいぃ。
なので僕はいつも、「南波さんて絶対クォーターでしょ」って言う。
すると、スタッフも含めていっつも言われる。
「純正ニッポン人です」。
でも僕は信じない。信じないゾーー

うーん、青春してる? この文章。どうですかね。

にしても、最近の南波さんの立ち位置はおもしろい。
前作の作詞:YUKIさん、
今回の作詞:BBB・小出くん×作曲:サカナクション・山口くん、
て、なんかミュージシャンズ・ポップアイコン化してるゾ。
昔の原田知世さんみたいな立ち位置だ。

さて、今回のマーキーでは計10ページの南波さん特集。
今期は赤、ということで衣装は統一ワンスタイリングで。
かわいい子の隣には獣を置く、
という本質・特質をより強調するための鉄則に従い、
鋼鉄のピカピカ感が欲しくて湾岸ロケで。
したら、やっぱり!
あの目のおっきさもバッチリ映えて、サイバーなんですよ、これが。
思ったとおり!
今回『New Face New Phase』というタイトルのミニ写真集を
とじ込んだんですが、もう扉と後ろ扉は、あの2点で即キメ。
サイバーだよねー。美少女系映画のパンフみたい。
他の写真もなるべくクールな表情で選びました。
前回、ロハス系スクールガールな少女性で撮影したから、
今回はちょっと謎なオトナな雰囲気を醸すラインで、と思ってたから。
フォトジェニックだよね、南波さん。

後ろ扉に「to be continued...」とあるように、
次号 8/10 発売のMARQUEE Vol.86 でも引き続き南波さん、
登場します。

てことは、もしかして後ろ扉は「I'll be back」?
いやいやいや、それは映画の見過ぎだろ、ってことで。

細野(晴臣)さんが出発点の、今や森ガールも込みな、
後の渋谷系系譜にあって、サイバー感さえ出せる久しぶりの逸材。




Radio Psychedelic Vol.19

  • Posted by: MMMatsumoto
  • 2011年6月11日 01:36
  • MMM
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クラムボンのミトくんと僕 MMMatsumoto でやってるポッドキャスト、
MMM Radio Psychedelic の最新版がUPされましたー。

隔月刊「マーキー」の発売に合わせて、
偶数月の10日にUPしてます。

今回のテーマは、"ホッコリひょうたんじま"。
ってわかるかなー?
昭和40年代だもんなぁ、しかもちょっと間違ってるし。

すみません、どうでもいいです、この話。

今回は二人ともスタンダード目指します。
「俺達も、人間!」みたいな回となりましたー。

クリックするとPCで聴けるよん!

webDICE

HMV




MARQUEE Vol.85 本日発売!!

  • Posted by: MMMatsumoto
  • 2011年6月10日 12:30
  • MMM
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マーキー最新号、今日、6/10 発売です。
両面表紙の表:ねごと、裏:やくしまるえつこ
特集クラスがいっぱい。
特にねごとは、34ページ!

引き続き、このブログで裏話(取材後記)も書いてきます。





MARQUEE Vol.85:The Mirraz

  • Posted by: MMMatsumoto
  • 2011年6月 8日 18:55
  • MMM
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今回のミイラズ記事は、
写真×インタビュー×言論の自由×THE ミイラズ・グッズ
の4本立て。
こんなのもう特集でしょ、特集!

とにかくミイラズがシングルを出すって言うんで、
「え!? シングルー」と思い聴くと「あ、シングルだ」ということで
写真は既に体半分がミイラ化しているカメラマン・新保くんに速攻依頼。
ところが撮影事必須の僕がバッティングで当日立ち会えず。
でもでも新保くんは、
ライヴ含めずっとミイラズを撮ってきてるし、
10年以上前、野村(浩司)さんとこでアシストしてた頃から知ってるし、
第一、ミイラだからね。
そしたら案の定、全然大丈夫で、
そこに我がマーキーを支える理解者兼デザイナーの藤田くんの冴え渡るデザインが加わって、これがかなりの自信写真となり、ズバッと1点見開きでキメ。

最近ますます音楽で勝負したいと言う畠山くんには、
シングル『観覧車に乗る君が夜景に照らされてるうちは』について語ってもらった一方、別ページでは論説者として、震災以前から変わらないスタンスについても語ってもらいました。
裏側の深い所から今回のシングルをあぶり出したくもあったので。
こちらはマーキー解説員・MMMatsumotoが担当。

更に、日頃あんまりにミイラズ・グッズが鋭いので、
無理言って、同じくユーモアが元気な、
"こんなニッポンは将来明るい!的"Candy Stripperのデザイナー・板橋よしえさんに、なんとミイラズ・グッズについて話してもらいました。
そしたら話がもう核心的で、
これは拡大解釈していろんな事に置き換えるとかなり役立つ。
こちらは、ミイラズ・トートでお出かけの小誌・上田が担当。
ちなみに、ミイラズ・グッズの新商品も
「続・The Mirrazのfuckin'なグッズ関係」で掲載してます。

もう一つちなみに、アークティック・モンキーズ超えなサウンド指向の畠山くんが、一方でグッズのイラスト描いたりアイディア出したりもしてるって知ってるよね。念のため。(ファンの間では有名)
そう思うと、ミイラズのロッキン・ユーモアな、
毒あっても包容力あるあの感じって、もっと理解できると思います。
これはありがちな慣習化した"ついでグッズ"じゃないんだよとか、
よしえさんの言うとおりで、デザイン自体が主張なんだけどユーモア持って誰もが手に取れるよう落とし込むっていう商品としてのクオリティというか、
もうここまでくると表現っていうか、
それも「ヒ・ョ・ウ・ゲ・ン!!』って感じじゃなくてね、とか。
音楽とデザインが密接に繋がってて、でも笑えるっていう、
ミイラズ、発想力含めすごいなって思う。

けど、自社起こして、どんどん忙しくなってるミイラズなだけに、
今回で連載『The Mirrazの習慣TSURAIZAY(ツライゼー)』が
急きょ最終回になってしまいます。これは残念。
連載どころか、
もしかすると記事以上に有意義な表現かもしれないあの1ページを、
毎回あれだけのアイディアで撮影・デザイン含め継続するのは大変な事。
「手は抜きたくない」と言う畠山くんの意志です。
これまでのクオリティも、今回ストップするというのも。
そして、「ミイラズはそうあってほしい」
と思うマーキー編集部との合意でもあります。
好評だったからこそ、ぜひご理解を!

その最終回は、なんと畠山くんとKINOIくんが対話。
絵(写真)もいいんですよ~、これが。
なんか原点に戻った感じというか、水入らずな感じで。
サブタイトルが
『観覧車に乗るハタケヤマとキノイが夜景に照らされているうちはたまにはゆっくり話をしてみようじゃないか』
もちろん畠山くんが付けた。
素晴らしすぎる! ちょっと泣ける。



MARQUEE Vol.85:ふくろうず

  • Posted by: MMMatsumoto
  • 2011年6月 8日 17:12
  • MMM
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写真はジャングルにて。

ジャングル、行ってきまたしたー。with ふくろうず。
撮影コンセプトは、アルバムタイトル『砂漠の流刑地』にちなんで、
オアシスにやって来ましたー、というもの。
砂漠でこの衣装は暑すぎだろ、とも言えますが、
オアシスで青々と水分補給と考えれば...と適当でもあります。

ふくろうずって今まで Vo & Key の内田万里さんが、
ほぼ一人で音作りしてきた感じだそうで、
そう考えるとすごい。あの楽曲クオリティで幅広さだから。
しかも、かなりの多作家でもあります。
とてもOL志望だったとは思えない(笑)。

でも最近ご本人も諦めたようで(笑)、
今回はグッと音楽に入ってきて、同時にバンド全体で動き始めて、
ちょっとリスタート感があるとのこと。

その内田さん、ほとんどの人達が小動物系と思ってそうだけど、
違います。それは勘違いー。
僕も最初、リス?と思ってたんですが、結構ガオッって感じで、
いざ分かってみると、
そう言えば、ふくろうずってポップな曲調が多いけど、
なにか濃い~なぁというところを結構感じてた。
今回のインタビューも冒頭からブッ飛ばしてて、
果たしてこの原稿はOKなのか?と思ってたんですがOKでした。
でも、いいんだろうか...

ということで、これを機に本格化しそうなふくろうずに関しては、
次号(次の次、8/10発売号)から
内田さんに連載をお願いすることにしました。
暴走しそうだなぁ...。安全を祈る。


MARQUEE Vol.85 :andymori

  • Posted by: MMMatsumoto
  • 2011年6月 8日 16:03
  • MMM
2011.6.8_2.jpg

ていうか、1号終わると頭の中が砂浜ーみたいな、
記憶、全然無いー、みたいなこの感じは、
ちょっと一夜漬けのテストの後みたいだ、いまだに。
いくつだよ!いったい。
本当は要するに、取材直後に書いとけばいいってことか...

で、思い出す。

今週 6/10 発売の最新号 MARQUEE Vol.85
(表紙:ねごと/やくしまるえつこ)のことを。では。

えーと、andymoriの3人に会った日は...
そう、最初に撮影しようとしたら、
途端にザバーと15分くらい豪雨になって、カラッと晴れ。
そうそう北関東の方で竜巻だったかが起こったあの時。
原宿の山手線沿いで撮影。フォトグラファーは中野(敬久)くん。
隣でモデルの女の子が撮影してて...

andymori・小山田くんの底力が出たニューアルバム『革命』は、
彼の底力が優しさになって出ていることが最大のポイント。

震災前、まだ多くの人達が浮かれてる頃から、
というか多分ずっと以前から、
「この人は夢見れる気質なんだけど、どっか冷めてる」って思ってたその冷めてるっていう所が底力の正体だな、と。
昔、お姉さんの死も経験しているから、多分人一倍、
生きるってどういう事なんだろうとか、
絵空事じゃなく考えざるを得なかっただろうし。
少し腹をくくってる感じというか、
だから日常の表面的な事を大して気にしていない感じが
この人には以前からある。
考えてもしょうがないことは流れに身をまかす的な。

だから震災があっても、彼の気持ちは急変しなかったはずだし、
逆に「やっぱり」って思った部分もあったんじゃないかと思う。
普段は伏せられてた世の中のいろんな事があぶり出されたり、
右往左往している人達の気分や行動を見ていて。
最初から予測できてた部分はあったはず。

音楽の快楽的な楽しさは充分体感していたと思うけど、
その快楽の中核を成しているパワーみたいな漠然としたものを、
震災があって、どこへ向けるかがハッキリしたというか、
音楽がどうやって人の気持ちに機能すべきか、自分に何が出来るか、
そこでの確心を強めたというか。
だから『革命』は性格がハッキリしてるんだと思う。
そのパワーがデカイ音とか激しい曲みたいな肉体依存の"力"として出てるんじゃなくて、気持ち的な"優しさ"になって、聴いためには"心地いい"くらいの感じで出ているところに、彼の深みを感じる。
他人がどう言おうと自分はこう思う的な、確心的な、そういう強さ or 確かさが、自分の事以上に他人に向けられた。
そこが今作の深みだし、サラッと聴ける程のフッ切れ感になって出てる。
それは震災が彼に決心をさせた部分って言っていいかも。

で、1曲直前でカットされた曲があって、
それこそが今書いた事を究極指し示してると僕は思ったけど、
カットした理由が、また小山田くんらしくて。
優しいんだよ、彼は。
愛情ってことを本当に知ってるなぁって思う。

バンドも今勢いあるし、
アルバム聴いてのとおり気持ちもスッキリしてるし、
今の時世にこのアルバムはタイミング良すぎるくらいだ。
革命するなら、こういう革命の在り方がいいよね、と思います。



MARQUEE Vol.85 出来上がり

  • Posted by: MMMatsumoto
  • 2011年6月 8日 01:49
  • MMM
2011.6.8.jpg

へへへ。
マーキー最新号、出来あがりあしたー。
(HiGE 宮川くん風に)

今回はマーキー史上、最長のページ数です。
いつもより重いゾ。

さて、これからガーと書きますか。


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