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MARQUEE Vol.108 夢眠ねむ(でんぱ組.inc)連載「まろやかな狂気」 Notes 003.「三重県」、つづき

  • Posted by: MMMatsumoto
  • 2015年4月12日 03:51
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大好評連載、でんぱ組.inc・夢眠ねむさんの連載「まろやかな狂気」。
毎回ご本人がテーマを決めてロングトーク!
なので、本誌では字数に限界があるため、
後半は当ブログにそのまま続く形式になっています。
なので可能なら、本誌 MARQUEE Vol.108のP80から続けてお読みいただくことをお勧めします。

今回のテーマは「三重県」。
ねむさんの出身地です。
ちなみに僕MMMatsumotoも三重県出身。
本誌分のほうで「あ、分かる、分かる」と馴れ馴れしかったり、
「松阪牛」「伊勢神宮」でドヤ顔を勧めているのもそのせいです。
お許しを。

では、"夢眠ねむ"を形作る最も根深い部分「三重県」へ、良き旅を!



たし。やっぱり何か観光地で、一個のそのポイント? 例えばウィークポイントをチャームポイントにするっていう作業ばっかりやってました。坂がいっぱいあるってしんどいなら坂を名物にすればいいとか。私はアキバで、駄目なところをチャームポイントに変えることを学んだけど、それは元々持っていたものでもあって。それをアキバで裏付けてもらえたというか」
――最初にねむちゃんに会った時に、同郷だったから珍しいなって思った。その時思ったのは、この人は三重県のことを誇るんだという軽い驚きだったんですよ。
「(笑)。背が高いとか歯が出てるとか眉毛が垂れてるとか、自分がヤダって思ってるところを誉めてもらえる喜びと、三重県って言うと三重の人はめっちゃ喜んでくれることが似てると思うんですよ。『三重県出身』と口にすることが、なんかいいことというか。何かみんなのトラウマをこう、拭えるっていうか」
――巫女さんみたいに浄化するっていうか(笑)。
「そんな気はするんですよ。ねむに憧れて『背が高いけどアイドルになりました』って言う子が結構いて。そういう子達って泣きながら教えてくれるんですよ。『こんだけ嫌だったけど、絶対猫背になってたけど、ねむちゃんに会って背筋を伸ばしました』みたいなことを言われると、私もちょっと猫背がちなので伸ばさなきゃって思うっていうか。自分がきっかけを作ったんだから、ちゃんと責任を持たなきゃみたいな感覚はあります」
――要するに僕は、ねむちゃんのポジティヴ感が違和感だったんですよ。それはご自身の努力もあるけど、ベースにあるのはご両親から注がれた愛情なんだなあって分かった。
「両親には愛されました」
――だからアイドルをやってるんだなと思った。アイドルをやれる理由はそこなんだなって。
「私は幸せに育ったなあっていう。結構ヤバかった時期は勝手に自分がヤバかっただけで、親の責任じゃないから『死にたい』と思っても『親が悲しむからやめよう』って思考回路だったんです。こういう感じで育ったのはお母さんがすごいからで。最近お母さんがなんかね、『育て方を書こうかな』とか言ってるんですよ(笑)」
――それは名案かもしれないです(笑)。
「私がいろんなインタビューで親の話をするのを読んで、泣いて喜んだっぽくて。お母さんはお母さんで結構苦労してきたらしく。というのも、家系が魚屋で、私で5代目。正確には、お姉ちゃんが5代目なんだけど、男が生まれなかったからお母さんはめちゃくちゃいじめられていたらしい。『男じゃないならいらないでしょ?』と言われながら育ててたけど、でもちゃんと育て切ったし、良い子に育って良かったあ、と(笑)。そういう親の話を書くと『いい育てられ方をしましたね』って言われるよって言ったら、『えー、じゃあ育て方を書こう』って呑気に言ってて(笑)。今どこから書こうか悩んでるらしい」
――(笑)。ねむちゃんの身の上に起こるネガティヴなことや、"中間"のどっち着かず感も、最終的にポジティヴ変換されてるけど、そうして人を照らすことができている背景に、ご両親の愛情があったことは間違いないと思う。
「うんうん。親がいるから大丈夫って思えるみたいなとこはあって。でもアキバに来てから、そうじゃない子達に触れ合うことがめちゃくちゃ多かったから、親に愛されたことをを言うことで傷つく人がいっぱいいるんだ!?と思って、言わないようにしていた時期もありました」
――また、いつもの感じだ。
「また(笑)、口に出せないことが増えて。でもそれを控えて言わないって、それも分かるけど、私は愛されたっていうのを言うのは悪くないなとも思ったんですよ。三重県のことを考えた時とか、それこそマーキーで親への手紙を書いた時に、口に出して言うのは悪くないことだと思って」
――ところで、今でんぱ組に所属してる感は、どのくらいのものなんですか?
「今はでんぱ組でしかないところがあるんですよ。ちょっと前まで"夢眠ねむ"をやってる中ででんぱ組をしてる感覚だったんですけど、今は『"でんぱ組.incの夢眠ねむ"です』って言うのがマストになってる感じ。いちばん冠に来てますね」
――段々そういうふうに移行していったんですか?
「移行はしていったし、そうだと思う、なんか。認める、というか」
――素直に飲み込めてきたってこと?
「元々はソロでやりたいとか、アイドルよりも美術をやりたいとも考えたんですけど、やっぱり今はでんぱ組ありきのことばっかり。もちろん前提として"夢眠ねむ"ではあるけど、今はもう、進んでることは全てでんぱ組.incのことだなと思う。だからグループ内での自分の位置が成り立つよう、私の場合は出身地や育ってきた環境を、もう一回踏みしめて思い出してるんです。その意味で三重県でライヴが出来たのは個人的に良かった。"夢眠ねむ"らしいことをしてる感じがして」
――大阪時代、中学高校時代の頃は"夢眠ねむ"の中の人でやってたんですよね? "夢眠ねむ"は東京に出て来てからですか? メイド喫茶の実験体験以降の話なの?
「そこがね!難しいですねぇ。たぶん、今は中高の頃に近い」
――当時、中高では"夢眠ねむ"の名前は持っていなかったけれど、中の人も"夢眠ねむ"的な要素が既にあった?
「逆転していった感じ。後ろと前が。保育園とか物心付いた時から、物を作ってたし。私はずーっと芸名を持ってるんですよ」
――"夢眠ねむ"とは別に?既に?
「既に。一番最初に付けたハンドルネームは"くまだしゃけ"だったんです。小学校低学年の頃、その名前で漫画を描いてました。中学になると"あすろべえ"に変わって(笑)。それでお父さんが最近まで『あすろ』って呼んでました、私のことを」
――昔からもう一人格ある傾向だ。
「でも、アキバ的なハンドルネームとはまた別で、作品ごとに使い分けてたんですよ。例えば中高の頃、グッズ的なものを作る時は、自分で"タイニードットトイズ"というブランドを作って、そのロゴも描いてプリントのシールも作ってました(笑)。全部所属できないくせに、常に自分で起こしてたんですよ。小学校では、コインゲームを作ったり、郵便局を起こしたりとか、団体とか会社を作るのが好きでしたね。それで流行ったりしちゃうと、譲っちゃうんですよ(笑)。だから発明を譲ることは、ちっちゃい頃からやってたことなんです。全然大層な事じゃないんですけど、『もう、いいな』ってなっちゃう(笑)」
――"夢眠ねむ"と付いてからとそれ以前では、何か感覚が違うんですか?
「違いますね。やっぱり何かになるっていうことに名前は必要だと思いますね。例えば芝居する時も『"夢眠ねむ"でやれ』って言われたら"夢眠ねむ"でしかできないけど、『"橘かれん"になれ』って言われたら"橘かれん"っぽくやるじゃないですか。声優さんもそうかもだけど、イメージが色々できる人には必要なことかもしれない。パンッて切り替えれる人や、根っこが一緒でも変身する感覚の強い人にとっては、名前があったほうがやりやすいと思います。それは元の自分を殺さない為なのかもしれないですけど。器用なりの怖さってあるじゃないですか、『自分はどれだったんだろう?』って」
――名前を使い分ける背景には、定められたくないという心理もあるとか?
「それはありますね。決めつけられたくない。自分で定めたいんですね。だからデザイナーを諦めたんですよ」
――発明じゃないから。
「そう。ファインアートに行ったのは、自分で名付けたり決められるからで。やっぱり好きじゃないと出来ないという下手さがあるから。だから言っちゃえば、上手いから出来ちゃって自分が思ってないことをしちゃうのがヤダ、っていうところの反発かも」
――という中立感のおかげで、今となると様々な事をポジティヴ変換できてるのでは?
「だいぶ、そうですね。2年前位からポジティヴ」
――自分は本当のオタクじゃない、アキバじゃない、という悩みも解消されてきてるでしょ?
「うーん、されてはいるんですけど、オタク全部にリスペクトがあるから。全部を極めてない時点で言いたくないんですよ。やっぱり説明書きが2行以上は鬱陶しいんです。もう、名前の話もそうだけど、一文で全部意味が分かるくらいの、パンッパンッていうのじゃないって時点で嫌で。それでやっと上手く言い表わせたのが"オタクヲタ"。やっぱりオタクが好きでこの世界に入ったんだから、一番の真実だなと思って使ってはいるんですけど、それもアイドルとオタクのどっちにもなれなかった自分でしか取れない位置だから、"夢眠ねむ"らしさはありますね」
――そのことで多くの人達が勘違いしてるのは、「でんぱ組は、アイドルを壊して新しいアイドルを作る」という見方で。
「違うの。真逆なんですよ」
――自分達はアイドルのつもりで頑張ってやってたんだけど(笑)。
「そーですよー!」
――元が不器用だから独特の形になってしまったっていう。
「それしかできなかっただけなんですよ。破壊じゃない。ウチラは本当にアキバっていうのを言い続けてるし、超保守だと思うんですよ」
――何よりアイドルへのリスペクトがあって、その究極とも言える"アキバ"に根付いているわけだから。そのアキバという土台自体が承認されてきた。
「アキバが認められて、番組でも変な感じに取り上げられなくなった。例えば『それの良い効果のひとつですよね、でんぱ組は』って言われたらやっぱり嬉しいじゃないですか。『でんぱ組が偏見を取ったよね』とか。その個人ヴァージョンが三重なのかもしれないです」
――ねむちゃんは中間をもう個性にしてると思ってるんですよ。
「うん、私の一番の個性は中間っていうことだと思うんですよね。間の人」
――でんぱも中間の役割を果たしていく時期に来てますよね。何かと何かをつなげて行く位置に居て、その為の衣装や音楽やダンスでもあると言っていいくらい。気づかせる役目を担っているというか。でんぱが元来抱えているものは普遍的なことだから。
「そこがでんぱ組で自分が必要ないんじゃないか?って思ってた要素で。いじめられてもいないし、『ひとりでも別にやっていけるや』って思ってたところもあって。でも中間でどこにも属せない寂しさを抱えてるんだなって。そういう人も多分いっぱいいると思うし。あと、私はメディア芸術をやってたから本当良かったよなと思う」
――だから今でんぱで居るのは必然かと。ねむちゃんが進む過程で、特にでんぱ初期はパッシングだったわけで、そこを越えてきた情熱がキーだったかと。
「さっき親に愛されたからポジティヴっていう話もあったけど、でも私はみんながダサいと思ってたことだって、絶対これは格好良いんだっていう自信を持って今まで物を作ってきたから。でんぱ組.incのことだって、『何言ってんの? これ超格好良いじゃん!』って思ってた。自分が格好いいと思ってる人達、例えばファンタジスタ歌磨呂さんとかが、自分が格好良いと思うものにハマってるのも心支えになった」
――あとは観光地生まれ。その情熱の根底に祭りのワイワイ感、明るさを感じるから。観光地独特の祭り感覚って、何かね、派手さにつながる気がするんだよ。表現力、アウトプット力の強さに。
「やっぱり私、ずーっと観光地って格好良いなって思ってたんです。なんですけど、可笑しいなとも思ってた。町でみんながこれを着なきゃいけないからって忍者の服とかを着なきゃいけないわけですよ。嫌だなと思っても。私が『着んの嫌やから』と言うと、お母さんが3000円を渡すとか(笑)。忍者を何故か住民がやらなきゃいけないっていう時点で可笑しいのに、嫌だからって娘にバイトをさせるって(笑)。忍者の地だからって、ここまでしなきゃいけないの?っていう面白さがあって。もっと変だなーって思ってたのは、伊賀市の市長と(県境隣接市の)甲賀市の市長が手裏剣対決とかを、真剣な話し合いの時にちょろっとやって握手とかするんです。それが新聞の一面とかに載る(笑)。それをみんな真面目にやってるんです。みんな町興しにめちゃくちゃ真剣でだから細胞レベルから何かを盛り上げようとする。良く思ってもらおうとする意識が異常なんですよ。だから三重県のことを盛り上げるし、でんぱ組のことも盛り上げるし、秋葉原の良いとこだけを盛り上げるし。何かを言って落とすんじゃなくて、『それは売りにならないだろ?』ってことも、なんとかいじってでも売りにするっていう育ち方なんですよね。それってダサいんですよ。スマートじゃないんだけど、私にはすごく格好良く見えた。それと同じで、オタクってすごくダサいものだってされてても私にはすごく格好良く見えた。なぜなら忍者の話もオタクも、どっちも愛情しかないからで。結局お金を超えて、愛だからっていうところがあって。その愛を盛り上げるにはお金が必要だから何かを売るとかなんだけど、結局は『これ、いいですね!』って言ったら、『あげる、あげる』ってあげちゃうわけ(笑)」
――もてなしだ。
「そう、もてなし。サプライズだったり、喜んでもらおうっていうそこに銭勘定できないんですよ。喜んでもらえるんだったらマグロをお父さんがさばいちゃう、自分のポケットマネーでファンに振舞っちゃうみたいな感覚で育ってるから。ここで損をしたとしても1年に1回のことなんだから、自分のお金で払ってでもファンの人にこれをあげたいとか。それが何百年も続いてるんですよ。三重県にとって観光って重要な部分だから。それはやっぱり"東海道中膝栗毛"のやじさんきたさんがお伊勢さんに行く道中の話がストーリーになってるのもそうですし、例えば赤福本社があるおかげ横丁なんて"おかげさん"っていうのを掲げてる。自分なんて何にも偉くないっていうところで、それこそみんなが来てくれて盛り上がってるから『お蔭さんで生きさせてもらってる』って言うのが三重県の県民性で、その言い口は控え目。そのことを私は三重県民として誇ってるんですよ」
――そうして客観的に愛せたには、地元を1回離れたから。それは前提ですよね。
「ああ。そうですよね。自分の血を知るみたいなのは大事だなと思いますね。どういうことになるにせよ」
――僕、過去に性同一性障害のミュージシャンを3人取材してるんだけど、本当に、雰囲気が女の子なんだよ。それは不思議な感じがします。究極の中間はそこだと思ってるんですけど、やっぱりそれは計り知れないものがあるなと思った。
「なんか、矛盾を肯定できるっていうのが、私はやっとやれたことで。自分の矛盾がどうなんだろう?って思ってた時期は本当に苦しかったですけど、今はやっぱりそこが、面白いじゃないけど、突き詰めるべきはそこだなって思ってます。私もやっぱりアイドルじゃない自分を愛してもらえるか分からなかったりするし。むしろアイドルだってことを嫌がられるかもしれないしっていうので。とか、私は矛盾の上に身を置いてるなっていう感覚でずーっといるんですけど、男の見た目なのに女だとかって。難しい...」
――難しいですよ。でも本人はそれが当たり前の感覚で否なる責任もないわけだから、だとすれば周りの認識の仕方が変わらなきゃいけないんだと思う。
「そう。でもそれを嫌な感じで受動的にしてる人っていっぱいいて。私はそういう態度が大キライだから。例えば『子供好き』って言って子供と接してる人って、私はやっぱり好きじゃないんですよ。なんか、わざわざ子供を好きって言ってる感じっていらないじゃん?って思っちゃう。子供扱いをした上で子供を好きなのって、子供には分かるから」
――子供も性同一障害の人も同じ。人と人で話をするしかない。
「そう、それしかない」
――性別や年齢は、その上に乗っかっている後天的なことだから。まず人間同士である、と。そこから始めればイスラムの人だってヨーロッパだって関係ない。そこに有る共通話題はもはや普遍的なことだろうから、これは共有できるだろうと思ったところに、でんぱ組が居た!
「えっ! 話が急だな(笑)」
――でんぱ組だけが違うって言ってる理由は、本当はそこなんだよ。でんぱ組が抱えてる内情・人格は、さっきから言ってる世界中に通じるところと直結してるって感じる。でんぱ組の存在理由つまり役割って、究極そこかなと思ってる。
「は! レゾンデートル大冒険!」
――(笑)。これは根幹の話で、設定や物語ではないので。
「だから多分しんどいんでしょうね。キャラクターを演じるっていう話ではないっていうのが。魔法少女はしんどいっていうのは、多分『まどマギ』とか、そういう今風の魔法少女漫画とかでばらされてる気がしますけど。やっぱ楽しいだけじゃないっていうか、全員のものを背負ってるのって結構キツいっていうか」
――でんぱ組.incもねむちゃんも巫女的な性格が強いですよ。というか、そもそもアイドルというもの自体が、オンタイムの巫女なわけで。というところまでにしましょうか、今回は。
「次回も、楽しみ!」





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