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MARQUEE(マーキー)Vol.109 夢眠ねむ(でんぱ組.inc)連載「まろやかな狂気」 Notes 004.「夢眠ねむの弊害」、続き

  • Posted by: MMMatsumoto
  • 2015年6月12日 20:09
ねむ連載ブログ.jpg

MARQUEE(マーキー)Vol.109
夢眠ねむ(でんぱ組.inc)連載「まろやかな狂気」
Notes 004.「夢眠ねむの弊害」、続き

お待たせしました。
でんぱ・ねむちゃん連載の続きです。
MARQUEE Vol.109のP85より、そのまま続きます。
本誌の3倍くらいの分量あります。
よろしくお願いします。



う話。私文献とか読んでいても昔からなんか火あぶりに関心が行くんですよ。魔女とかってすごい魅力的だから、いろんな角度から妬まれて火あぶりにも合ったんだろうと思うと、今炎上したりしてる人とかも多分似た原理な気がするんですよ。能力があるがゆえに妬まれるというか。炎上って今の時代の火あぶりのような気もするし」
――魔女って情報力があった人のことだろうからね。多分その時代においてちょっと頭脳や勘、情報察知能力が発達してた人のことで。それで普通の人からは「アイツおかしい」と形容されがち。でも、本人はかなり明晰だと思うんだよね。
「だと思う。賢い人の言ってることって、行き過ぎてたらわけ分んないけど、解り合える人と話してる時の脳みそがすごい楽っていうのと一緒で、本当に頑張ってこっちに合わせてしゃべってくれてんだなって自分が感じる時もあるし」
――コペルニクスは「地球は自転してる。地面が動いてる」って真理を言ったわけでしょ? 何世紀も前なのに。でもさ、誰も実感覚としては分らない。これ程科学が発展した今でさえ。だからそこにスイッチャーが必要なわけで。分りやすく伝える役割の誰かと、伝えようとする気持ちが大切。もっと言えば、真理は誰一人理解出来なかったら真理に値しない。理解される、つまり第三者に使われなきゃ意味が生まれないんだから。
「その"スイッチャー"としての立ち位置を考えた時、どんどん世の中的な対応に慣れちゃってきて頭を使わなくなってることに焦ってるんですね。例えば本を読まなくなったり、人の話を聞けなくなったり。キャラとして聞いちゃって、その人を『嫌だな』『いいな』ぐらいでしか分んなくなっちゃう。上手くバランスよく出来なくて」
――アンバランスな時期はあります。統合されてくるのは、普通に生きてたら30代後半以降だと思いますよ。
「松本さんが『伝わんないな』みたいな時っていっぱいありますか?」
――ずっとそうでした。
「例えば記事を見ると、すごい難しい事を言ってる記事もあるけど、例えばアイドルが美味しいお菓子の話してるだけとかもあるじゃないですか。それのバランスとか、その両方を同時に面白いと思う感覚? それをどう養い保っているのか、私松本さんのその感性が謎で。大体みんなジャンルは偏ってやってると思うし、自分と似てる人のところにあてがわれるじゃないですか、編集って。『オマエこれ向いてるから行け』とか。30代後半を越えたからとはまた別のところでやってる気がして」
――自分だけのチャレンジする領域を持ってるんですよ。そこで養ってます、自由に動ける自分を。それってね、若い時はみんな持ってるんだけど、歳を取っていくと「そういう事はダメだ」とか自制しちゃったり、周りとの付き合いの中で省かれていくんだよ。そうすると「やっぱ俺はここかな」って居所を定め、その領域で仲間を作って生きていく。それは精神的に安定できていいんだけども、物事を見るピントは甘くなるだろうね。
「私もその価値の持ち方では、すごい難しい本も簡単な絵本も等価なんですけど、まだ一緒にして伝えることは出来なくて。こっちの人にしゃべる用の言葉、こっちの人にしゃべる用の言葉がまだバラバラのうちは、本当に伝えられないのかなと思う。多分、普通の言葉でストレートに言って、どっちもの人が自分の言葉で解釈してくれるちゃんと素材的なものを発せられるようになったら、今のところ一人前なのかなって思いながら」
――で、最後は多くを語らなくても、その人が現れただけでもう伝わるようになると。
「そう! 1回『まろやかな狂気』の対談シリーズの時にテンコと話しましたよね、大御所になる話。昨日しょこたんの誕生ライヴに出て、小林幸子さんがいらっしゃったんですけど、やっぱりいらっしゃるだけで有り難かったし。で、別に小林幸子さんの一生みたいな波瀾万丈番組を観たわけでもないのに、この人私の5千倍ぐらい苦労してるの分るなってビシビシ伝わってきて、『あ、これだ!』と思いました。しょこたんはすごいレジェンド達に愛されてるんですよ。例えば声優さん達もそうだし。やっぱりこの人が行くべき所がそれでもう分っちゃうっていうか、誰に愛されるかでその人が何になるかっていうのが見えちゃうんだなっていう気がすごいしました。レジェンドに愛されてるから、もうしょこたんが、例えばいくら妬まれて炎上したりとかしても、その愛の壁がすごい厚いから絶対大丈夫だし、しょこたんもレジェンドになるんだなってすごい思った。やっぱり『この人すごい』ってあからさまに分かるから、なんか頑張ろうって思った(笑)」
――ねむちゃんは美輪さんとか小林さんと話す機会があるといい気がする。
「ひー! そう、話聞けるといいですよね。吉田豪さんみたいになるしかない(笑)。なんか行けそうじゃないですか? ガハハハ、って言ってる感じです(笑)」
――でも、目指す所はどんどんハッキリしてきてるよね。
「そう。だから変な話、アイドルがどうのっていうだけじゃなくなってきた。自分の見る対象にしても。でも、これは『夢眠時代』(生誕小冊子)の時に松本さんとしゃべったけど、大物になんなきゃ意味ないよねってことで、結局毎年同じ話してんなって思っちゃった(笑)。でもそういうもんですよね?」
――手を替え品を替え話すんですよ(笑)。というか、そうやって作品発表するんですよ(笑)。結局言ってること同じじゃーんって。
「卒業制作と一緒なんですよね。でも、それって私今一番自分が誇れることかもしれないって思ってる。言ってることがもちろん変わったっていうのが成長に捉えられるし、で、変わってないっていうところがその時の感覚が当たってたんだなと思って、すごい自分が誇らしくなる瞬間を持てることがすごい有り難い。『ちゃんと夢眠ねむやってんな』みたいな思えるっていうのはいいなと思ってて」
――そういう影響を与えればいいじゃない。
「そっか! そっちだよ!」
――短命の美を命とする多くのアイドルファンからすれば邪道・悪影響極まりないけどね(笑)。
「ゲッ(笑)。だよな~。なんか分かんないけど、究極的最初の方にチラッと話ましたけど、なんで有名なのに辛く当たられなきゃいけないんだっていう、その一部からしたらアホみたいな意見、『バカだな』って思われるような意見だけど、やっぱり優しくされたいし好かれたいから頑張ってるわけですよ。こっちも愛するし。というところでアイドルをやってるわけで。やっぱり古典的なファンの人から『アイツのせいで』って思われたくないし、『これはこういう事情なんです』って1人1人に言って回りたいんですけど(笑)。『私も分かりますよ』みたいな。結論、1人ずつとサシ飲みしたいっていうところになってくるんだけど、無理なんだよね~(笑)。もう最終的にはスナックだよなってことになってきてる」
――アハハハ、毎晩飲みに来た人に説教すると(笑)
「説教したり、『なんか言いたいことあったらスナック来なさいよ!』みたいな(笑)。やっぱりネットも誌面も好きだし、直接話すのは苦手かもしれないんだけど、結局しゃべった方が早いんじゃないかって思ったりする」
――でも、ねむちゃんもアイドルヲタだから、ファンの気持ちも分るところがあると思うんですよ。そこで共通のワードで理解を求めれば分ってくれると思う。だから自分の武器をこっちは手裏剣、こっちは矢とか、通用する道具で分ければいいんじゃない?
「多分その使い分けが出来てないからなんですけど、自分が『こうだな』って思うことを、やっぱ言わなくてもいいかもしれないけど言っちゃう。言っちゃった時に、そうじゃない人達がすごい謝ってくれるの。『ゴメンね』って。そういう事がメッチャ多い。微妙なさじ加減が出来ない。それってやっぱり、いい人は『自分だ』って思って謝っちゃうし、逆にもっと達観してる人は冗談で返してきたりとかしてくれたりするけど、やっぱ難しい。人間難しい」
――アイドルも多様化時代だから、夢眠ねむ遺伝子が増えてきてるのも当然というか。女の子が自分の若い時期にどういう生き方をするかっていうことを考え始めたら、もうその時からアイドル的なんだよね。それは自分の見せ方の話だから。外面・内面ともに。だから将来、統括的、ディレクション的な立ち位置で、ねむちゃんや松井玲奈さんみたいな人が運営に当たってほしいんですよ。
「アハハハ、私ね、運営は向いてない(笑)。そこまで背負いたくない(笑)。もっと気ままな役がいい。やっぱり道端の占い師がいいな~(笑)。となると、ご飯を食べさせてあげて話を聞くみたいな、やっぱりお母さん的なアイドルハウスみたいなのを作りたい。お金が無いアイドルがご飯を食べに来るみたいな施設を」
――いつかニコ生でも言ったけど、新しい学校を作ってほしい。
「あ、それって給食ってことか」
――その準備で大学講師として修行に行くのでは?と僕は勝手に思ってる(笑)。
「予備校みたいなのを作ればいい」
――そうそう。そこには洋服(衣装)の部門もあったりとか。
「楽しそうだな~ それでちゃんと食堂つければいいんだ! 安い」
――組織として運営出来るようにお金勘定に興味がある人も付けて回す。
「ちゃんとしたダンスのレッスンとかはそこではやらない方がいいな。ダンスとか歌じゃないところの」
――だからYumiko先生みたいな人が来て「動かないこともダンスです」っていう基礎から教えて。
「でもなー、やっぱりダンスをする人はダンスからの方がいいもんな。動いて分からせる方がいい気はするな~」
――それはカリキュラムですよ。総合施設でいいかと。例えばアイドルで病んだ人が来る部屋とかも(笑)。
「(LinQ)伊藤ちゃんみたいなのがいるの?(笑)。私も経験してはいるから行くけど。やっぱちゃんと生きれない子がアイドルになる感じがするんですよ。だから学校のカリキュラムがない、その日に合わせてやるみたいなところがいいな」
――先生もね、今日は天気がいいんで、5月だし外行きましょう、とか。
「そういうの、そういう教室がいい。海外の美大っぽいですね」
――それでもっと実践的な方がいいよね。学校で勉強したものを応用するみたいな話じゃなくて、直接もうアイドルだったらアイドルをやる。ダイレクトに皮膚感覚で。
「ああいう疑似体験みたいなのは遠回りな気がする。しかもやった気になるし。やった気になっちゃうのが一番マズイ気がする」
――例えば、アイドルに必要な数学とか。
「チケット代(笑)。このホールは300人入ります、みたいな(笑)」
――アハハハ、実感沸くなぁ。
「こんだけの赤字が出ます、みたいな(笑)。『ヤダー!』みたいな(笑)。シビア~。照明やってみるとかね。スタッフさんの気持ちが分かるっていうか」
――そうすると世の中はこういう風になってて、ああ、だから大人はこういう風に言ってたのかっていうのも分る。
「分かる! そういうのって知っとくと違うと思う。でも、生まれ持ったアイドルの子が入れない入試にしたい。『この子アイドル向いてないな』っていう子を入れたい(笑)。アイドル向いてる子は普通にした方がいい。そうなると入試ムズイですね(笑)」
――そもそも入試があるのかどうかも。1人1人に対しての評価・助言だから平均点がないし、そもそも平均点という考え方を排除しないと。内気すぎて、親がアイドルにでもして外と接点持たさなきゃっキッカケの子、わりといるじゃない? そういう子の方がよっぽど適合してるわけだよ。1人1人に合わせてカリキュラムを組む勢いでいいというか。だから、少人数のゼミみたいな感じになってくると思う。先生も頭柔らかいよ~。本当に臨機応変で判断も難しいから、生徒から「いや、先生そっちじゃないんじゃないですか?」みたいな場面もありつつも、そこで一致協力して何かを成し遂げる。その気持ちの持ち方を実践で学んでいく。普通それくらいのライヴ感ってあるでしょ。
「やりたいな~、それ。『憧れてます』って言ってくれてた子に対して『ありがとう』って素直に言える子がいる一方で、『憧れてる場合じゃねーだろ!』『私に憧れてるって言ったら夢眠ねむチルドレンになって終わるぞ』って後輩に言ってたり(笑)。1人1人に合った言い方が、ちょっとずつでも出来てるといいなぁ」
――テキストなんてものも、指針程度のものでいいんだよね。教育の在り方は全体としてこれくらいのデコボコが好ましいというか、ミスや修正も込みで教育、"生きていく現場"という考え方で日本も復活するだろうし、人類はもっと脳みそが進歩しますよ。
「私本当に脳みその退化が最近考えることの大半で。『勉強しなきゃ』って焦ってるのもそうだけど、本当にミシミシいいながらバカになっていってる気がするんです。どんどん細胞が死んでる音がする(笑)。それが怖くて怖くて。もっと語彙もあったし、もっとしゃべれた気もするんだけど、やっぱりしゃべりやすい言葉ばっかりしゃべっちゃったりとか、『これでいいだろ』っていう諦めみたいなものがあったりとか、すごいショックなことがいっぱいあった」
――アウトプットを続けてると、思考は簡略化されますよね。今でんぱ組でアウトプットを続けてるから退化しているように感じるんじゃない?
「いや今は私から出たものはないと思う。全然自分が考えてやれてないっていうのが危機感なんです。でんぱ組.incの夢眠ねむでやってる分には自分のことを削ることがほとんどないから、削れてないのがすごい怖くて。それで自分が『嫌だ』と思ってる事が、大体インターネットとかTwitterの中で起こってる事だけっていうのが恐ろしいから、今すごく本を読んだり生身の人と話す機会を取りたいんです」
――当面、吸収ですかね。ねむちゃんタイプのアイドルが増えてきてるからこそ、その指針になってほしいとも思ってます。





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